【GUIDE】構造設計者

デザインを支え、建物の健康な骨組を考える

建築の設計は、大きく分けると意匠・構造・設備という分野に分かれる。特に、建物の大きさが一定規模以上になると、それぞれの分野の専門家が協働して設計を進めていく。構造設計者の役割は、建物の安全を確保した上で、より美しく・経済的に・確実に工事ができ、耐久性のある建物をつくることである。

建物の構造とは、簡単に言えば柱や梁、基礎や壁など建築物の骨組のこと。建物が完成してしまうと、構造体は外側も内側もほかの材料で隠れてしまうので見えないことも多いが、建物の骨格をなす大切な役割を担っている。ちょうど人間も、服を着ていると見えない骨組みや体つきが、ほんとうは服よりも大切であるのと同じことだ。

イラスト:高橋哲史

構造設計者の仕事は、「基本設計」「実施設計」「現場監理」に分かれる。まず基本設計で、建物全体をどのような形にするか、構造部材の素材は何を使うか、どこのデザインを優先するかという方向性を決める。次に実施設計では、基本設計での決定事項をもとに計算を行ない、安全で法律に合った構造部材を選定する。この段階では、建物にかかる重さを計算する「荷重計算」、風や地震など自然現象によって外からかかる力を計算する「外力計算」、部材にかかるさまざまな力を計算して骨組の壊れ方を想定する「応力計算」、強靱な骨組を決定する部材の大きさなどを導く「断面算定」などを行ない、「構造図」として構造に関わる情報を図面に描く。現場監理では、実施設計で確定した図面のとおりにできているか、工事現場で確認する。

現在、構造計算はコンピュータの解析ソフトでシミュレーションすることが多いが、構造に関する詳しい知識をもって新しいアイディアを盛り込んでいくのは、やはりスケッチや手計算から始まる。それぞれの構造設計者の力量が問われるところである。また、新しい施工技術や素材を活用することで、斬新なデザインの建物が実現する可能性もあるので、意欲的な構造設計者は情報収集にも余念がない。

主な就職先は、ゼネコンや組織設計事務所の構造設計部、また大小の構造設計事務所。建材メーカーなどで、自社製品開発のために構造設計者が求められることもある。一方、役所や検査機関などで、確認審査の業務を行なう専門家も必要とされている。昨今は建築構造の重要性が見直されたことから、確認申請用の提出書類も煩雑になり、計算して図面を描くだけなく、審査をする担当者に丁寧に説明する必要がある。コミュニケーション力は、構造設計者にもますます求められる能力だ。

構造設計者に必要な資格としては、一級建築士に加え、現在では構造設計一級建築士という資格がある。一定規模以上の建築物の構造設計に関わる場合は、この資格が必要となる。

  • 採用までのスケジュール

ゼネコンや組織設計事務所では、一般的な採用スケジュールによって行なわれる。小規模の構造事務所では、所員の増減や進行するプロジェクトの規模や数によって採用のタイミングが左右されることも多い。希望する事務所がある場合は、個別に連絡をとっておこう。

建築系学生のためのフリーペーパー「LUCHTA」8号(2008年12月15日発行)より
取材・文:加藤純/イラスト:高橋哲史

 

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