【GUIDE】建築設備設計者

建物を動かすエネルギーをコントロールし室内環境を整える

空調換気や給排水、電気などの設備は、現代の建物に欠かせない。建物を人の体に例えるなら、臓器や器官、神経、血管、頭脳などに当たるのが設備。普段目を引くのは、骨格や容姿に例えられる構造や意匠だが、建物はそれだけでは成り立たない。設備は普段は目に見えないものがほとんどだが、建物内での、人々の健全で快適な活動をサポートする大切な役割を果たしている。

建築設備は大きく空調・衛生・電気の3分野に分かれ、規模が大きな建物の設計ではそれぞれ専門の部署がある。「空調」には機械設備と電気設備があり、「衛生」には給排水とトイレ、「電気」には電気の引込みや分電盤、受変電設備などの計画、照明などが含まれる。空調計画を立てる上で、設備設計者が考慮する事項を少し見てみよう。うまく自然換気ができるプランはどのようなものか。換気の方式はどのようにするか。部屋の温度や湿度をコントロールする、効率とコストパフォーマンスのよい空調機器は何か。機器をどう組み合わせて配置すればよいか。機器の操作方式は何を選択するか。決定することは数々ある。

イラスト:高橋哲史

建築設備設計者は、意匠設計者と協働しながら計画を進めていく。まず大枠の計画を意匠設計で進める時には、建物の用途や規模、条件に応じて、設備関連で必要とするスペースやスペックを伝えて反映してもらう。そのおおまかなプランをもとにクライアントと綿密に打ち合わせ、要望に応えながら、計画をより具体化していく。図面を描くだけでなく、必要に応じて諸官庁や上下水道局、保険局、電力会社、設備機器メーカーなどと協議することも重要な業務。そして、施工現場での会議にも出席し、施工者からの質問や現場での調整に対応していく。

関わる建物の用途は、オフィス、ホテル、学校や公共施設、病院、駅や空港など多種多様。地域の冷暖房センターなど大型の建物に携わることもあれば、個人住宅に関わる場合もある。それぞれに必要な設備は違うし、日進月歩で各技術は向上しているので、日頃から情報チェックは欠かせない。最近では社会的に「エコ」への関心が高いため、関連した設備の導入を検討する場合も多い。また、同時に複数の建物を担当することが一般的なので、高い情報処理能力が求められるといえるだろう。そして、計画は予定通りに進まないので、臨機応変に対応する柔軟性やタフさが必要とされる。

主な活躍の場は、ゼネコンや建築設計事務所の設備設計部門、また専門の設備設計事務所、そして建築衛生機器のメーカーなど。役所や保健所などで審査の窓口業務に就く人もいれば、電力会社などの建設部に入る人もいる。高度化した設備設計に関する専門家としてニーズは高い。

設備設計者に必要な資格には、建築設備士がある。さらにステップアップ的な資格として、一級建築士に加え、現在では設備設計一級建築士という資格がある。一定規模以上の建築物の設備設計については、この資格が必要となる。

  • 採用までのスケジュール

組織設計事務所やゼネコンでは、一般的な採用スケジュールによって行なわれる。中小規模の事務所では随時募集をしているところもある。

建築系学生のためのフリーペーパー「LUCHTA」12号(2009年9月30日発行)より
取材・文:加藤純/イラスト:高橋哲史

 

Back Number