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【結果報告】くまもとアートポリスプロジェクト 立田山憩の森・お祭り広場公衆トイレ 公開設計競技2020

くまもとアートポリスプロジェクト
立田山憩の森・お祭り広場公衆トイレ 公開設計競技2020 審査結果発表

熊本市北区立田山憩の森・お祭り広場に、県が建設する公衆トイレの設計者を広く公募した『くまもとアートポリスプロジェクト 立田山憩の森・お祭り広場公衆トイレ 公開設計競技2020』の最終審査結果が公開されました。結果をお知らせします。

応募件数:279件

受賞者
最優秀賞 森と人の輪
曽根拓也+坂本達典+内村梓+前原竹二(東京都)

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優秀賞 立田山と呼応する屋根
占部将吾+佐藤元樹+西島要(東京都)

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佳作 共生の光
佐河雄介+辻拓也(埼玉県)

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佳作 Birdhouse Toilet
松田裕介(福岡県)

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佳作 Leafy Roof Lavatory -安らぎの屋根が作るみんなの憩いの場-
幾留温(東京都)

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佳作 「森林ミュージアム」のレストルーム
葛島隆之(愛知県)

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佳作 マチ山の教室 マチの中にある山の中の学びの拠点
菊井悠央+本山真一朗(千葉県)

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佳作 木とコンクリートとガラスの積層フォリー
山田健太朗(東京都)

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佳作 立田山の訪礼堂
岩崎裕樹(大阪府)

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佳作 PRIMITIVE HUT 憩いの森の憩いの場
太田裕通+北村拓也(京都府)

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※佳作は応募受付時の整理番号順に掲載しています。
 
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審査員長コメント

審査員長/くまもとアートポリスコミッショナー
伊東豊雄

 この度の豪雨災害で被災された方々に改めて心よりお見舞い申し上げます。くまもとアートポリスでは、熊本地震からの復旧・復興の経験をふまえて、応急仮設住宅団地計画と集会施設「みんなの家」計画を中心に微力ながらの支援をスタートしているところです。コロナ禍もおさまらない状況下、全国から279もの応募作品の中から大変難しい審査論議を経て最優秀案を決定するに至りました。
 既に熊本県のHPで公表しておりますが、事前審査において選出の10案は整理番号:「作品タイトル」代表応募者で紹介しますと、15:「共生の光」佐河雄介、21:「Birdhouse Toilet」松田裕介、39:「Leafy Roof Lavatory-安らぎの屋根が作るみんなの憩いの場-」幾留温、62:「森林ミュージアムのレストルーム」葛島隆之、140:「森と人の輪」曽根拓也、162:「マチ山の教室 マチの中にある山の中の学びの拠点」菊井悠央、181:「立田山と呼応する屋根」占部将吾、239:「木とコンクリートとガラスの積層フォリー」山田健太朗、253:「立田山の訪礼堂」岩崎裕樹、270:「PRIMITIVE HUT 憩いの森の憩いの場」太田裕通であります。
 審査にあたりまして事前に、最優秀賞、次点の優秀賞、事前審査通過の残り8案を佳作とすることを確認しました。
 最優秀案には、140:「森と人の輪」曽根拓也(代表応募者)、坂本達典(共同応募者)、内村梓(同)、前原竹二(同)を選出いたしました。軽快で、風が吹き抜けていく爽やかさのある案です。丸太を組んだレシプロカル構造の柔らかな環状屋根が最大の特徴となっています。屋根の下にはトイレブースと休息スペースが連関をもって配されており、隣接するお祭り広場とのつながりを感じる計画であります。応募作の時点では、特徴である構造体の実現には課題が残り、トイレブースと屋根の関係についても今後再考を重ねる必要があるように思われます。応募要項に示されている工期、工事費やメインテナンスなどを考慮すると課題が明確で、最も破綻がなさそうであるということが判断の決め手となりました。
 次点であります優秀賞は、181:「立田山と呼応する屋根」占部将吾(代表応募者)、佐藤元樹(共同応募者)、西島要(同)となりました。今回の応募作の中で最大の問題作といってよいかもしれません。コウモリのような湾曲平面を覆う檜皮葺と銅板葺きの曲面屋根の中央部に唐破風のようなエントランスをもつ斬新なフォルムが強く印象に残る作品でした。お祭り広場側には檜皮葺の屋根が地上1mの眼前まで迫り、反対側は立田山を借景にした庭が各トイレブースから眺められる計画となっています。作品にかける熱意がひしひしと伝わってくる作品です。しかしながら、実現の可能性をめぐって議論を重ねましたが、与条件の範囲内でプロジェクトが成立するかどうかの疑念を払拭する手立てを見つけることができませんでした。
 審査過程を振り返りますと、まず事前審査の投票で279作品を34作品に絞り、次に審査員だけのリモート審査で各案に対して意見交換をおこない、本審査に進む10作品を選出しました。本審査までに各審査員が作成した10作品に対して共通の質疑、個別の質疑と、その応募者回答を事務局にまとめていただきました。
 本審査では各審査員が質疑回答書をもとにひとり3票の投票をおこない6作品が残ることになりました。この中から最優秀案の決定を試みましたが結論に至ることができませんでした。各案にはそれぞれ優れたところと疑義を感じるところがあり、図面や書面だけの判断には限りがあるのではという意見があり、急遽3作品に絞りこみ、日を改めて応募者と審査員がリモートで直接質疑応答をおこなうことになり、最優秀案と優秀案を決定した次第です。
 最後のリモート審査まで競ってくださった3作品の残りひとつは、39:「Leafy Roof Lavatory-安らぎの屋根が作るみんなの憩いの場-」幾留温です。事前審査から本審査まで安定して多くの票を集めた作品です。葉っぱのような有機的な屋根が可愛らしく、トイレ部分のプランも問題が少なく好感の持てる作品です。屋根部分の構造とトイレブースと天井面との隙間処理に対する疑念を払拭する説得力のある説明が欠けているように感じました。
 リモート審査に残らなかったものの本審査の投票で絞られた6作品の残り3作品に一言触れておきます。162:「マチ山の教室 マチの中にある山の中の学びの拠点」は、既存トイレを改修して残すという唯一の案で、ワークショップを取り込みながら造りあげていくストーリーが他案とは一線を画していました。トイレ改修プランの問題点と改修がコスト減につながらないことが評価につながりませんでした。239:「木とコンクリートとガラスの積層フォリー」は、集成材、コンクリートブロック、ガラスブロックなどの異なる素材を積層した直線的な力強さを感じる造形が魅力でしたが、木床仕上げや異なる性質を持つ素材の組み合わせによる問題、このような場所における立地の妥当性について問題視する意見が聞かれました。253:「立田山の訪礼堂」は、バシリカ形式の教会建築をトイレにアプライしようとした発想のユニークさが印象に残りました。181と同じく全体の中でも異色性が際立っていました。トイレブースの半円柱鋼板壁仕上げなどの課題があり佳作に留まりました。
 本来ならば観客や応募者がいる会場で全てのA1応募パネルを広げての審査のやりとりを公開する予定でしたが、予期せぬコロナ禍の影響でリモート審査をおこなうことになりました。最後まで残った3者の方々にはリモートでの質疑応答に対応していただくことになり心理的負担も大きかったのではと推察しています。
 与えられた条件が変れば自ずと優劣も変っていたのかも知れないと思うところもあります。また、これがアイデアコンペであれば全く違った案が選ばれた可能性も否定することができませんことを付加えさせていただきます。
 審査を終え、審査員一同、応募者のフレッシュで熱いエネルギーを感じることができたのが一番の収穫であるように思います。最優秀案に選ばれたチームの方々が279作品の代表として皆様が納得する建築の実現に向けて頑張ってくれることを信じてエールを送りたいと思います。
 最後になりましたが、応募者全員の方々に御礼申し上げます。これからもくまもとアートポリスの動向に注目していただくことをお願いすると共に再度の挑戦に期待いたします。

コンペ詳細
主催

熊本県

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