幅広い視野をもって市場と技術をつなぐ【商品企画マーケティング職】

幅広い視野をもって市場と技術をつなぐ

建築設備や建材を扱うメーカー企業には、社内にマーケティングの役割を果たす部署をもつところが多い。マーケティングとは、企業がマーケット=市場に働きかけること。新商品をつくる前の段階で調査を重ね、市場の現状や今後のニーズを見極めていく。そうして得た情報や指標をもとにして、どのような製品を世の中に送り出すかを企画し、会社全体で協議する。今後の方向性を探るという意味で、企業にとっては眼であり、頭脳の一部でもあるわけだ。

マーケティングをする人=マーケッターに欠かせない業務は、市場分析。企業の活動全般や商品企画に関連のあるテーマについて、雑誌や書籍、インターネットを通じて情報収集を行なう。また、新しくオープンした建物やスポット、ショールームや展示会にも積極的に足を運び、トレンドに触れる。たとえばトイレや洗面所といった水まわり設備の業界では、最近のトレンドであるテーマに「環境」がある。具体的には「節水」「省エネ・CO2削減」など。マーケッターは時代の流れや需要に敏感で、さまざまなことに興味をもち、多くの情報を自ら吸収できる人が向いている。


イラスト:高橋哲史

そして、住宅設備や建材を扱うメーカー企業のマーケッターは、自社製品の使われ方や感想にも強い関心をもっている。導入を決定した設計者、また毎日使い続けるユーザー、そしてメンテナンスを行なう建物オーナーなどの意見は貴重なので、使用感や要望を聞くための個別訪問や、グループ・インタビューを実施することもある。現場の評価をフィードバックしながら、新製品の企画と開発につなげていくのである。

商品企画が決まり、開発を進めるとなれば、関係部署との連携が重要になる。マーケッターの商品開発への関わり方はさまざまで、コンセプトを固めた後は開発部門に引き継ぐこともあれば、本格的に開発プロジェクトが動き出してからも密接に関わり続けることもある。技術者の多い開発部門は専門性が高いので、具体的な試作段階に入ると機能重視で進む傾向がある。デザイン性やコスト面などとのバランスを比較検討しながら、最適なスペックを探る時には、マーケッターの意見が重要になる。そうした面ではバランス感覚やコミュニケーション能力が求められるし、建築分野の企業では、建築全般の幅広い知識が社内外を問わず会話や交渉に役立つ。

マーケッターに特別必要とされる資格はないが、自分の得意な分野での能力を伸ばしていくことが期待されている。建築士はもちろん、インテリアコーディネーター/プランナー、さらにはキッチンコーディネーター、福祉住環境コーディネーターなどを取得している人は多い。

  • 採用までのスケジュール

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p style=”padding-left: 30px;”>建築関連のメーカー企業で、企画部の人材として募集をすることは少ないが、入社後に希望や適正に応じて配属されることが多い。採用は一般的なスケジュールによって行なわれる。めざす企業の商品やイメージをよくみて、その企業の方向性を自分なりに把握しておこう。

建築系学生のためのフリーペーパー「LUCHTA」7号より
取材・文:加藤純/イラスト:高橋哲史

 

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