[連載]「旅の追憶」建築家がすすめる見に行ってほしい建築06|慶野正司
洋食器工場の家業を継ごうと工業高校機械科に入学した50年前。その1970年代は日本の高度成長期の終盤であり空前の建築ラッシュでもあった。そんな時代に触発され、そもそも「もの」を作ることに興味があった私は意をけっして大学建築学科に進学した。当時、建築学科では真っ先に学ぶのが近代建築の3大巨匠(ライト、コルビュジエ、ミース)である。その目にする建築写真の全てが建築に対する一般的概念とは大きく異なり、特にミースの「ファンズワース邸」や「バルセロナ・パビリオン」には『これが建築なのか!?』と強い衝撃を受けた。