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公開プレゼンに向け提案パネルを展示/世田谷区本庁舎・区民会館建替

提出された6案について広く意見を募る

建築家の故前川國男氏設計による東京・世田谷区役所本庁舎と隣接する世田谷区民会館の建替え(世田谷区本庁舎等整備基本設計業務委託公募型プロポーザル、深尾精一審査委員長)において、1次審査を通過した6者による2次提案書が9月1日まで公開されています。

公開されている提案書は1者当たり4枚の展示パネルに、配置計画(行政、議会、区民会館などの各機能と関係性)、災害対策計画、環境性能、現庁舎の空間特質の継承などの各テーマに沿ってそれぞれまとめられています。

公開場所は区役所第一庁舎と砧、北沢、玉川、烏山の各総合支所。パネルの大きさはA3判横使い、第一庁舎と砧総合支所はA1判に拡大して展示しています。世田谷区は、公開した提案内容に対する意見を区民に記入してもらい、設計審査委員会に参考資料として提出。9月18日に実施する公開プレゼンテーションおよびヒアリングに役立てます。9月27日に審査結果を公表する予定です。

一次審査を通過した6者は、RIA・隈研吾設計共同企業体、梓設計・坂茂建築設計共同企業体、環境デザイン・綜企画グループJV、久米設計、kwhg+安井設計共同体、佐藤総合計画。全棟新築とするものから、一部改修、一部保存、一部デザインの復元の計画までありますが、故前川國男氏の建築空間の特徴をどのように継承するかが一つの大きなテーマとなっています。

世田谷区民ではなくとも見学はできるので、建築を学ぶ学生などにとっては、大手設計事務所や著名な建築家のプロポーザル書類を直接見ることができる機会になるでしょう。ただし写真撮影は不可です。

世田谷区「本庁舎等整備について」のHP
http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/107/157/722/730/d00145127.html

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◇世田谷区庁舎および区民会館

前川國男(1905-1986)設計、大成建設施工により、区民会館(地下1階地上2階建)は1959年竣工、第一庁舎(地下1階地上5階建)は1960年竣工。ともに鉄筋コンクリート造で広場(ケヤキ広場)を中心に南側に区民会館、北側に第一庁舎を配置。敷地東側の世田谷通り沿いにはピロティをもつ2階建の低層棟が建ち(下写真)、このピロティを通りケヤキ広場につながっている。区民会館の西側に位置する第2庁舎(地下1階地上5階建)は1969年竣工。

築50年を超えて老朽化などが問題となり、区は同建築の調査研究などを踏まえ2016年12月に「世田谷区本庁舎等整備基本構想」 を策定。現在は、公募型プロポーザルによる設計者選定を進めている。

なお、日本建築学会関東支部は2009年に保存要望書を世田谷区長に提出している。

同書では重要な建築史的価値として「1950 年代に東京都区部に建てられた区民会館(公会堂)の代表的建物としての価値」「モダニズムの設計手法による地域文化施設の提案/広場を中心とした分棟型の構成」の2点を取り上げている。
https://www.aij.or.jp/scripts/request/document/20090730.pdf

文責:Luchta編集室
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