【Lab.】東京理科大学 高橋治 研究室 (建築構造・材料系)

【Lab.】東京理科大学 高橋治研究室 (建築構造・材料系)

研究室情報

概要
学校名:東京理科大学
学科名:工学部 建築学科
分野:建築構造・材料
分類:新素材、免震、制震、風力発電施設
担当教員:高橋治[教授]
キャンパス:葛飾キャンパス
所在地:〒125-8585
東京都葛飾区新宿6-3-1
東京理科大学 研究棟7F
HP:サイトはこちらから

キーワード
#構造
#材料
#構造設計
#防災
#減災
#耐震
#三次元免震
#オイルダンバー
#制震
#免震装置全般
#シェルター

主な研究テーマ

・防災・減災・耐震
・三次元免震、オイルダンパー、制振・免震装置全般
・シェルター、コンテナハウス
・新素材(カーボン、アラミド、ポリウレア、αゲルなど)を扱った建築設計・製品開発

コンセプト
2015年4月に建築構造分野を主な研究分野として発足した研究室です。
「構造技術で社会をデザインする」
「守るべきもののために謙虚な姿勢で挑み続ける」
この2つを目的として研究活動を日々行っております。
近年は、新素材・新技術を用いた防災の研究に関しても注力しております。

プロジェクト紹介

【富山県・射水市】創業100年以上の銭湯改修プロジェクト(2022-)

富山県射水市にある旧荒屋鉱泉は明治42年創業以来、100年余り地域住民に愛された銭湯でした。しかし建物の設備の老朽化などが原因で2015年に閉業してしまいました。この旧荒屋鉱泉を耐震改修し、再活用させることがこのプロジェクトの目的です。本改修プロジェクトにおいて設計・施工は高橋研究室のメンバーで行っております。リノベーションでは外壁に富山県産の焼杉を、内装材として、杉や檜の突き板を利用し、木の香る建物へと生まれ変わらせます。

耐震改修後は空き家を再活用し、地域の人々が気軽に利用できる施設として利用していく予定です。また、定期的に地域の子供達と大学生が交流できる施設を目指します。

◯実測及び図面復元(2022)|銭湯改修プロジェクト

1F平面図

2F平面図

築100年以上の建物であるため図面が存在しません。
そのため、2022年の5月にプロジェクトメンバーで現地を訪れ建物の実測調査を行い、図面を復元させました。

○コンクリートブロック塀の調査、補強(2022)|銭湯改修プロジェクト
コンクリートブロック塀の倒壊はとても危険です。過去には、小学生が下敷きになってしまい亡くなってしまうという悲惨な事故が起きています。
《荒屋鉱泉》の建物の東側と西側には高く積み上げられたコンクリートブロック塀があります。5月にコンクリートブロックの積み上げ方、鉄筋の有無を確認しました。
そして、7月にはポリウレアを用いてコンクリートブロック塀の補強を行いました。事前の実験でポリウレアを塗布することで強度が2倍になることを確かめています。

◯ドローンを用いた屋根瓦の破損状況及びズレの確認、棟瓦の補強(2022)|銭湯改修プロジェクト

屋根に登っての確認には危険が伴います。そのため、ドローンを用いて建物の屋根を撮影し、瓦の破損状況やズレを確認しました。
また、7月には棟瓦の補強を行いました。
〇1階焼杉外壁施工(2022)|銭湯改修プロジェクト
1階外壁に焼杉を使用しました。富山県の県産材を使用しています。焼杉を外壁として使用することで、防虫効果などが期待されます。
焼杉制作から施工まで地元企業さん御協力の元、全て学生が行いました。焼杉制作では、富山県氷見市の岸田木材株式会社さん、施工では、富山県射水市の米田木材株式会社さんに御協力していただきました。
焼杉制作には「三角焼き」と呼ばれる方法を採用し、長さ4mの杉板を計156枚焼きました。

施工では、事前にフレームを製作し、焼杉フレームを荒屋鉱泉に貼り付けていきました。フレームを貼り付けることで時間を短縮させることができます。
焼杉フレームは、焼杉縦貼り、斜め貼りの2通りで行いました。斜め貼りをすることで耐力向上が期待されます。

〇柿渋塗料製作(2022)|銭湯改修プロジェクト

富山県、南砺市の農家の方から頂いた青柿10kgを使って柿渋塗料を製作中です。
青柿をミキサーなどで細かく砕き、水に浸して3日ほど寝かせた後に、木綿の布を使って絞りました。
再び数ヶ月寝かせた後に、荒屋鉱泉の柱などに塗る予定です。

〇津波シェルターを用いた解析と実験(2022~)

株式会社小野田産業の津波シェルターを共同研究として、解析・実験を行っている。
この津波シェルターの特徴は、素材が発泡スチロールにポリウレア樹脂を塗布していることである。
ポリウレア樹脂は耐衝撃性に強く、また速乾性もあることから、建築にも使われることがあり、アメリカ国防総省の本庁舎であるペンタゴンにも採用されている。
高橋研究室では、解析ソフトを用いた検証、振動台を用いた振動実験などを行い、安全性の検証を行っている。
解析ソフトでは実際のモデルを元にさまざまな方向から荷重を加えて、破断するかの確認を行う。
振動実験では、実際の地震を想定した際のシェルターの安全性を屋根に錘を乗せた状態で確認を行う。

既存コンクリートブロック塀と組積造壁の崩落防止としてポリウレア塗装とアラミド新素材を用いた補強に関する研究(2019、2020年)


大阪府北部地震によって、ブロック塀が崩落し、下敷きになりその後ブロック塀は危険な塀であったと発覚した。東京理科大学高橋研究室では、既存の組積造の建築物に対して崩落を防止する補強方法を探求するため、既存コンクリートブロック塀と組積造壁の崩落防止としてポリウレア舗装とアラミド新素材を用いた補強に関する研究を行った。
実験はコンクリートブロック塀にアラミドシート、ポリウレア、アラミド繊維ポリウレアシート、鋼棒を用いた6個の試験体を作成し、実施した。
結果はポリウレアとアラミド織り込みの荷重が鉄筋の3倍の数値を示し、ポリウレアとアラミド織り込みの試験体が最も良い結果となった。

教職員情報

高橋治 (教授)
略歴
1989年 東京理科大学 工学部 I部 建築学科 卒業
1991年 東京理科大学大学院 工学研究科建築学専攻 修士課程修了
1991年4月 – 1993年4月 (株)構造計画研究所 解析技術部
1993年4月 – 2004年7月 (株)構造計画研究所 構造設計部
2004年7月 – 2012年7月 (株)構造計画研究所 構造設計部 部長
2006年 東京理科大学 工学研究科建築学
博士号(工学)取得 (論文博士)
2007年7月 – 2012年7月 (株)構造計画研究所 執行役員
2011年7月 – 2012年7月 (株)構造計画研究所 西日本設計部 担当役員
2012年7月 – 2014年10月
(株)構造計画研究所 執行役員 技師長 品質保証センター 副センター長兼建築構造営業部担当役員
2014年10月 – 2015年2月 (株)構造計画研究所 執行役員 技師長 構造D&E担当役員
2015年 4月 東京理科大学 工学部 建築学科 教授
2016年 7月 東京理科大学発ベンチャー企業 (株)サイエンス構造 設立
2019年 10月 (一社)新構造技術普及協会 相談役
先生からひと言

2015年4月に建築構造分野を主な研究分野として発足した研究室である
https://tus-o-takahashi.jp/about_the_lab/
母校で実務の実践的な取り組みで、自然災害で誰も悲しい涙を流さないように向き合っていける教育を心掛けている、ミッションキーワードは、
「構造技術で社会をデザインする」
「葛飾発の構造技術を世界発に発信する」
「守るべきもののために謙虚な姿勢で挑み続ける」
など、を目的として教育・研究活動を日々、実践している
近年は、新素材・新技術を用いた防災の研究に関しても注力しており、「卒業後は胸を張って、高橋(治)研究室出身です」、職場や業界で活躍する学生たちに期待している

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