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【建築×音楽】人気の建築物”教会”に注目!音楽との切っても切れない関係とは?

建築系学生の好きな建築物ランキング」で第2位となった東京カテドラル聖マリア大聖堂。神々しい光に満たされた空間では足音さえ響くと紹介されていましたが、実は教会建築は音楽の発展にとっても大きな役割を果たしていることをご存知でしょうか?
今回は、建築物そのものから少し視点を広げ、他の芸術分野との深い関わりを紐解いてみようと思います。

■西洋音楽は「世俗」と「教会」の2ジャンルに大きく分けられる

普段、”クラシック音楽”とひとくくりにしてしまいがちな西洋音楽ですが、中世ヨーロッパにおいて、その歴史は”世俗音楽”と”教会音楽”にざっくりと分類することができます。

世俗音楽は、村のお祭りや飲み会でワイワイと歌われる流行歌や、吟遊詩人の奏でる音楽などをさします。ゲームや物語でおなじみの吟遊詩人は、実際に起こった事件を題材にした詩や恋愛の歌などを、民衆の求めに応じて奏でその音楽を広めていきました。世俗音楽は、こうした吟遊詩人や貴族や騎士階級の詩人によって、発展していったのです。

一方、教会音楽は楽譜の読み書きができる聖職者が信仰のために作った音楽です。教会の中で歌われる聖歌は、教皇グレゴリウス1世(在位590-604)が大々的な編纂をおこなったため、現在ではその多くが”グレゴリオ聖歌”として知られています。なお、グレゴリウス1世とグレゴリオ聖歌の関わりの程度がどれほどのものだったかについては、専門家によって諸説あります。

聖歌は当初、伴奏がなく1つのメロディを皆で歌う形式でした。これを”単旋律”といいます。この”単旋律”が美しく響く理由こそが、教会建築にあるのです。

■教会音楽は石造りの教会だからこそ発展した!?

教会の建物といえば、どのようなイメージが思い浮かぶでしょうか?

・天井が高く、広い空間

・石造り

・かすかな足音もよく反響する

教会の特徴ともいえるこのような空間は、残響を得やすく、単旋律の音楽をもっとも美しく響かせるのにふさわしい建築なのです。

音は、振動です。そのため適切な位置で振動波を反射させる(反響させる)ことで、もっとも良い響が得られるようになります。この数値の計算や設計については音響学という分野が関係してきます。音の響きを追求するという点において、教会建築は単旋律の音楽にとって最適でした。

人の声がほどよく反響し、メロディが天井へ高くのぼっていくように響き渡る‥‥そんな敬虔な雰囲気を演出するのにぴったりの空間だったわけです。

中世ヨーロッパの聖職者はこれを肌と耳で熟知しており、神へ届けるため、もっともよく響く崇高な祈りの歌を作曲しました。

もしもヨーロッパの教会の多くが木造建築だったなら、聖歌は日本の能楽や雅楽のような曲になっていたことでしょう。石材と木材では音(振動)の伝わり方が違います。その違いが、それぞれの国の音楽史に深く影響していると思うと、なんだか不思議ですね。機会があれば、日本の寺社仏閣で披露されてきた音楽と聖歌との違いを聴き比べてみるのも面白いでしょう。

■海外に行ったらぜひ訪れたい石造りの教会 3選

ヨーロッパを旅行すると、街の小さな教会から聖歌が聴こえてきたり、町中に鐘の音が響き渡る風景に出会ったりすることがあるかもしれません。西洋史においてキリスト教が切っても切れない関係にあるのと同様に、西洋音楽史の発展も教会音楽なしには成り立ちません。そしてその教会音楽は、教会独特の建築様式がその確立に深く関わっています。

ここで、海外を旅したらぜひ訪れたい、音楽史上でも重要な教会を3つご紹介したいと思います。

フランスのアミアン・ノートルダム大聖堂

アミアンのノートルダム大聖堂は、ヴィクトル・ユゴーの小説「ノートルダム・ド・パリ」の舞台になっている聖堂と似ていますが異なる建築物です。ノートルダムとは、フランス語で「私たちの貴婦人」という意味。当時の人々の、教会の権威と建築の美しさを讃える様子が伝わってくるような名称です。

1981年に世界遺産に登録され、フランスにおいて完全な状態で残るもっとも高い大聖堂として知られています。また室内空間も、フランス一大きいといわれています。

ちなみにゴシック建築様式で塔が建てられていた時代、教会音楽は単旋律から、グレゴリウス聖歌を基にした多声合唱音楽に進化していました。現代の合唱曲と同じように、複数のパートに分けられさらに広がりのある旋律を表現していたのです。

ゴシック建築様式の特徴のひとつともいえる縦型に長い空間は、当時からグレゴリウス聖歌とそれを元に成り立つ多声の音楽を美しく響かせていたことでしょう。

フランスのシャルトル大聖堂

シャルトル大聖堂は、1979年に世界遺産として登録されました。ロマン建築様式で建てられたClocher Vieux(クロシェ・ヴュー/旧塔)と、ゴシック建築様式で建てられたClocher Neuf(クロシェ・ヌフ/新塔)がそびえているという特徴的な外見と、中世時代一の保存状態といわれるステンドグラスは必見です。

2年に一度、国際オルガンコンクールが開催されていることでもよく知られています。

イタリアのサン・マルコ寺院(大聖堂)

ヴェネツィアのサン・マルコ寺院は、ビザンティン建築を代表する宗教建築です。実は、当時よりも500年も前に流行した形式で建てられています。世界でもっとも美しい広場と異名をとるサン・マルコ広場に面しているため、観光で訪れたら一気にイタリアの文化を吸収することができます。

ここは16〜18世紀の長きにわたり、イタリアのバロック音楽における中心地のひとつとみなされてきたこともあり、建築学的にも音楽学的にも非常に重要な寺院といえます。

■見学するなら覚えておいて損はなし!教会に入る時のマナー

日本の教会でも、オルガンコンサートやゴスペルコンサートなど、信者以外もその響きを楽しむことができる演奏会がよく開かれています。東京カテドラルでも、チャリティコンサートやクリスマスコンサートが毎年開催されているので、時期に合わせて訪れてみるのもよいでしょう。

ですが教会はあくまで祈りの場であり、立ち入る際には信者の方や教会の迷惑にならない振る舞いを心がけることが大切です。信徒ではない人が教会を訪れる時に最低限守りたいマナーは、次の5つです。

1、肌を露出しない(タンクトップやショートパンツはNG)

2、礼拝の撮影をしない(教会内すべてが撮影NGなことも)

3、神聖な場所である内陣(祭壇)には入らない

4、信者の方が最優先(祈っている人がいる時や儀式時は遠慮する)

5、大きな声を出したり装飾品に触ったりしない

肌の露出に関していえば、国によって女性のパンツスタイルがNGという教会もあります。観光で訪れる時にはその場の注意書きをよく見て従うようにしましょう。

■まとめ

学生さんからも人気の高い教会建築を取り上げ、音楽との深い関わりについてご紹介しました。どのような建築物も、その空間で営む行為にもっともふさわしい様式で造られています。その視点から考察を深め、歴史に触れてみれば、また新しい発見がきっとあることでしょう。

Text by UNO TOM

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