
旅の追憶
[連載]「旅の追憶」建築家がすすめる見に行ってほしい建築08|小倉直幸
科学・工学全般に興味を抱いて大学入学時には物理学科の門を叩いた。物理学科では素粒子理論や相対性理論の基礎になる理学系の解析力学に当初は夢中で取り組んだが、学部生活も中盤に差し掛かる頃、この科学の知識や技術を自分は何に活かせるのだろうかと考えるに至った。物理の研究者が目を向けて向かう先は、人の目には見えないミクロ・ナノの世界か、一生の間には把握しきれないような宇宙のようなマクロな世界。そうした世界に今でも興味はあるのだが、自分はやはり地に足をつけて社会工学に向き合っていきたいと思い、土木工学科へ籍を移して学びなおした。