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【動画】人新世の建築学―ウイルス・微生物・里山と 稲本正 ✕ 落合俊也|シリーズ『学びあう森と人』第一回|住宅建築

2021年10月3日(日)に開催した内容をYOUTUBEにて公開いたしました。

シリーズ 学びあう森と人。
第一回 人新世の建築学―ウイルス・微生物・里山と
稲本正 ✕ 落合俊也

「人新世」とは?
いま、人新世(ひとしんせい)というワードが話題になっています。人新世は、人類が地球の地質や生態系に与えた影響に注目して提案されている、地質時代における現代を含む区分(wikipedia)を表すもので、オゾンホールの研究でノーベル賞を受賞したパウル・クルッツェン氏らが2000年から提唱しているものです。
地球の歴史に詳しくないひとでも、三葉虫の化石で知られる「古生代」、恐竜たちが繁栄した「中生代」は耳にしたことがあると思いますが、それに続く「新生代」は、巨大隕石の落下によって多くの生物が絶滅した6600万年前に始まりました。「新生代」の第四紀にあたる、最終氷河期の終わった1万1700年前から現在までの安定的に温暖な時代を「完新世」とよび、この時代、人類は爆発的にその数を増やします。

地球の地層は、これまで5回にわたり大量の生物が死滅した時代を記憶していますが、私たちは今6回目の大量絶滅期を迎えつつあることはご存知でしょうか。過去の絶滅は隕石の衝突や氷河期などが引き金になっていましたが、今回の原因は人類の繁栄による可能性が高いとされています。2020年9月に発表されたWWFの最新レポートでは、過去50年の間に生物多様性は68%も減少したと報告されました。地球温暖化による気候変動、大気・土壌汚染、資源利用に伴う乱開発、未知のウイルスによるパンデミックなど、78億7500万人の人類の活動が地球の生態系システムに及ぼす、急激かつ重大な影響を止めることができるかどうかを問われる時代、その活動が記憶される地層時代、それが「人新世」です。
「人新世」のタイムスケールで現文明を振り返るとき、私たちの暮らし方が未来世代に何を残すのか、わずか100年程度の常識など超えて、創造力を求める選択肢が、いま私たちの手の中にあると気付くのです。

「人新世」の里山保全

飛騨高山のオークヴィレッジ (写真=畑拓)

オークヴィレッジの創始者として知られる稲本正さんは、これまで人と森の本質的な関係について、時間と空間、あらゆるジャンルを超えて豊かに探求し続けてこられました。

近著『脳と森から学ぶ日本の未来―”共生進化を考える” 』は、covid-19によるパンデミックを切り口に、生物としての私たち、社会を構成する私たち、日本に生きる私たちについての現在地点を確認してそこに立ち、森と人の新たな共生をもって、未来を切り開こうとする福音の書です。本書の中で日本の縄文時代を第一次木の文明、飛鳥〜明治時代を第二次木の文明と位置づけ、いまこそ、私たちは第三次木の文明を築く時ではないか、と呼びかけている稲本さんは、現在は八王子市で里山の保全を手掛けています。岐阜高山の深い森から始めた森の旅を、今東京の里山につないで活動する意味や狙いについてなど、最新の活動についてもお話しいただきます。

建築の皮膚感覚と微生物

ラキさん自邸「ディアブブラ」1 (写真=畑拓)

フォレスト・バウビオロギー を提唱する落合俊也氏は、究極の木造住宅を手掛けてきた建築家です。近著『すべては森から―住まいとウェルビーイングの新・基準』は、住宅建築で連載中のシリーズ「森と人と建築と」をまとめたもので、森への深い考察と美しい写真が話題になっています。

表紙の帯に座る半裸の初老の男性は、今夏急逝されたスリランカの著名なアーティスト、ラキ・セナナヤキ氏。本書ではラキさんの住宅が熱帯雨林にあって大きく開放され、住環境と森とを遮るものが驚くほど少ないことが紹介されています。住宅を森林の大いなる生態系に向けて開放し、そこに肌を晒すのにはどんな意味があるのでしょうか。

フォレスト・バウビオロギーは、ドイツ発祥のバウビオロギー(建築生物学)と森林医学を組み合わせた造語。第三の皮膚といわれる建築に求められる、内部環境を守るだけではない役割とは何か。建築と微生物環境における最新の研究について伺います。

ラキさん自邸「ディアブブラ」2 (写真=畑拓)

概要

■講師: 稲本正・落合俊也

■ファシリテーター: 赤池円

■日時:2021年10月3日(日)13:00~15:00

■会場:Youtube Live(住建チャンネル)によるライブ配信(詳細は後日お知らせいたします。)

■会費:無料(事前申込みが必要です)

■定員:500名

■申込方法:

終了いたしました。

登壇者プロフィール

稲本正(いなもと・ただし)
1945年 富山県に生まれる。1974年 飛騨高山でオークヴィレッジの活動を開始。お椀から建築まで幅広い工芸を展開する一方、植林活動を行い地球環境における森林生態系の重要性を発言し続ける。現在、オークヴィレッジ会長、正プラス会長、岐阜県教育委員、NPOドングリの会会長。著書に『森の旅 森の人』『森の形 森の仕事』(毎日出版文化賞)、『森の惑星』『脳と森から学ぶ日本の未来―”共生進化を考える” 』『日本の森から生まれたアロマ』(改定中)他。2021年には、東京で2店舗目となる表参道「ののあおやま」に「オークヴィレッジ青山」をオープン。


落合俊也(おちあい・としや)
1959年 東京都に生まれる。早稲田大学大学院修了後、杉坂建築事務所入所、杉坂智男に師事する。2014年 独立後、森林・環境建築研究所設立。現在、INFOM 国際森林医学会理事。サスティナブル住宅賞国土交通大臣賞(KIP)ほか受賞多数。著書に『都市型環境共生住宅のすすめ』(環境共生住宅新聞社)、『すべては森から―住まいとウェルビーイングの新・基準』(建築資料研究社)ほか。

ファシリテーター:
赤池円(あかいけ・まどか)  私の森.jpハヤチネンダ
ウェブ制作とコミュニケーションのあれこれ(グラム・デザイン代表)。インターネット黎明期のITベンチャーを経て1998年独立。非搾取的で、やさしく壊れない社会を目指して、主に環境・森林・地域・教育分野の情報発信を支援する。「私の森.jp」編集長、NPO法人森づくりフォーラム理事、一般財団法人ハヤチネンダ理事。

運営協力

建築資料研究社建築思潮研究所『住宅建築』編集部

お問い合わせ

info(アットマーク)jyuken.site

建築資料研究社からのお知らせ

『すべては森から―住まいとウェルビーイングの新・基準』(著:落合俊也)をはじめ、落合氏の連載が掲載されている隔月刊『住宅建築』を含む、建築資料研究社発行の雑誌書籍を期間限定の特別価格にて販売致します。詳細はお申込み後に随時ご案内させていただきます。

すべては森から
住まいとウェルビーイングの新・基準

『住宅建築』の人気連載シリーズ「森と人と建築と」を書籍化した本書。
森は人にとって特別な環境であり、森のリズムを取り戻すことが必要ではないか。
落合さんは、そんな想いのもと、建築家、林業家、熱帯雨林で暮らすアーティストなど、
分野・国内外を問わず森に関わる人々を訪ね続けており、その記録と成果がまとめられています。
これからの建築、住まい、暮らしを考えるうえでぜひ手に取っていただきたい一冊です。
詳細はwebサイトをご覧ください。

https://www.kskpub.com/book/b515651.html

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