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【おすすめの宿@岐阜】古き良き日本の風景が残るまち飛騨高山の文化財民家で、文化や暮らしぶりに触れる1日1組の宿「谷屋」本格開業|日下部民藝館

岐阜県・飛騨高山の明治時代に建てられた文化財民家を改修した1日1組の宿「谷屋」(岐阜県高山市大新町1-55)では、食事付き滞在のご用意を4月より開始し、飛騨の風土の中で紡がれてきた文化や日々の営みに触れる場を提供する宿として、本格開業しました。
https://taniya-hida.com/

「谷屋」について 

岐阜県北部飛騨地方の盆地に佇むまち高山。
谷屋は、その高山市の旧市街に残る明治建築の伝統的建造物保存地区 特定建造物である文化財民家「旧三輪家」を改修した、1日1組の宿です。
江戸時代民家の最高峰とも言われる国指定重要文化財「日下部家住宅」であり飛騨の工藝、手仕事の道具、全国各地の民藝を展示している「日下部民藝館」に隣接しています。

飛騨高山 古い町並み

手前谷屋 奥日下部民藝館

開業の背景にある想い

北アルプスの険しい山々に囲まれた飛騨高山には、主に江戸時代から明治にかけて建てられた多くの歴史的建造物と美しいまちなみが市内中心部に残っており、国内外から多くのお客様にお越しいただいています。一方で、国内の他地域同様に大手事業者による宿泊施設や店舗などが徐々に増え、山々の合間で長い間守られ、「古き良き日本の風景」、「心の故郷」と呼ばれてきた飛騨高山ならではの風情や文化を感じられる場や機会が失われつつあります。

谷屋を営む日下部家は江戸時代から同地で暮らしを営んでおり、祭り屋台に代表される飛騨の豊かな町民文化と経済を牽引してきた「旦那衆」と呼ばれた旧家の一つです。明治以降の町家建築としては初めて国指定重要文化財に指定されたその住まい「日下部家住宅」の一部を改装して「日下部民芸館」として一般公開しています。

日下部民藝館外観

日下部民藝館 囲炉裏

日下部家住宅を「日下部民藝館」として公共の場として開いているのは、柳宗悦の提唱した「民藝運動」に共感した11代目当主が、「地域の人々に豊かな文化的体験を提供する場として住宅を活用したい」との思いからでした。

谷屋においても同様に、ただ宿泊機能を提供する場ではなく、飛騨の文化や暮らしを体験いただける場でありたい、と考えています。

飛騨高山のひとびとが厳しい自然のなかで助け合いながら受け繋いできた、素朴ながら確かな美しさのある暮らしぶり。その一端を、このまちに惹かれ、訪れてくださるお客様に体感いただき、おひとりおひとりの日々の生活のうるおいや気づきになるような時間をお届けできたら。そして、その取り組みが、受け入れる側の地域にも少しずつ作用し、この地で長く続いてきた風景や文化を受け繋いでいくことにつながっていけば。そんな想いを原点として開業しました。

特徴

■ 江戸時代からまちと強く繋がった暮らしを営んできた日下部家当主が、「日下部家を訪れた大切なお客様」としてゲストをお迎え
亭主自らがたてる一服のお茶でゲストをお迎えします。
ゲストの希望や興味に沿って滞在中の過ごし方をご提案。
自然や歴史、食、農、工芸、祭りなど日下部家とのつながりのある地域の人々との触れ合いを通して、飛騨高山で生きてきた人々の営みを感じられる体験を提供します。

■ 文化財民家に滞在する
谷屋は伝統的建造物特定物件の文化財民家「旧三輪家」をリノベーションして生まれた宿泊施設です。左官職人として金閣寺などの文化財の修復に携わった経歴を持つ建築家森田一弥氏が設計を手がけた空間で、日本の原風景のひとつとも言われる木造町家の造形的な美しさを実感していただけます。

飛騨高山を拠点に世界で活躍する左官職人 挟土秀平率いる「秀平組」による地元産の土を使用した土壁や、800年の歴史を持つ飛騨の手漉き和紙 山中(さんちゅう)和紙、明治時代当時の木材をできる限り残した柱など、現代までつながる飛騨の匠の技術に滞在を通して触れていただけます。

谷屋外観

谷屋吹抜け

谷屋2階寝室

1階にはお茶室を含めた和室が3部屋、2階には寝室と洋室の2部屋。キッチンも備えています。

土間に面して並ぶ和室は、伝統的な飛騨高山の町家の間取り。座敷の低い天井は、明治の建築当時の風情とスケール感をあえて残しています。丹念に塗られた土壁、光を受けて表情を変える唐紙、フォルムが美しい座椅子、クラシックな和の空間に集まった個性的な意匠の室礼をお楽しみいただけます。

谷屋1階

隣接する国指定重要文化財の日下部民藝館へも自由に出入りが可能。夕刻以降は同館を貸し切り、プライベートラウンジとしてご利用いただくことも可能です。

日下部民藝館

■飛騨高山産の檜を贅沢に使用した総檜風呂
湯船はもちろん、洗面や隣接するお手洗いにいたるまで飛騨高山産の檜を贅沢に使用した総檜風呂をご用意。中庭に面した窓を全開にして半露天風呂としてもお楽しみいただけます。

半露天檜風呂

洗面所

■ 暮らしから生まれた美しい道具たち
人々の暮らしの中で使われ、作られてきた手仕事の道具。家具はもちろん食器や小物も谷屋が考える「飛騨の豊かさ」を感じていただける品々でお迎えします。
備えられている品々は全て購入が可能。その場で購入またはつくり手やお店の紹介も行います。

1階土間

■ 飛騨の食文化
旅の醍醐味の食事は、日下部家とも付き合いが深いお店のご紹介・ご予約はもちろん、地元で長く続く料亭の仕出しや出張料理など、ゲストのご希望に合わせてさまざまなお食事をご提案、ご用意いたします。手配したお食事は、谷屋の空間はもちろん、国指定重要文化財日下部民藝館の囲炉裏端などでお楽しみいただくことも可能です。
ご自身でお料理されたい方には、谷屋から徒歩1分の宮川朝市になどに同行してのお買い物案内などもいたします。

キッチンでの料理

【施設概要】

名称:谷屋(たにや)
住所:〒506-0851 岐阜県高山市大新町1-55

公式web:https://taniya-hida.com/
電話:(0577)32-0072
メール:contact@taniya-hida.com

延べ床面積:39.08坪(129㎡)
宿泊形式:1棟貸し切り
定員:4名(ベッド2台、 布団2セット *添い寝2名含む場合は最大6名)
事業パートナー:
建築設計:森田一弥建築設計事務所
建築施工:株式会社井上工務店
アクティビティ企画協力:株式会社エピキュリアン、笠原木材株式会社、飛騨一宮水無神社、飛騨一宮 宮笠保存会、位山・イチイの森を守る会、
宮大工 小野 庄一郎、民宿甚左衛門、飛騨市畝畑 塚本 東亜子、国府町 サノライス他( 順不同 敬称略)
室礼協力:やわい屋
翻訳編集/業務アドバイス:M&Company Inc.
写真撮影:山本 純一、田ノ岡宏明
デザイン協力:sheep design Inc.
他飛騨地域のみなさま

飛騨高山の物語をお客様と紡ぎたい。

1963年のある日、 東京から汽車に揺られて半日、一人の男性が山間の町の駅舎から現れました。おかっぱ頭にタータンチェックのスカート姿、その異彩を放つ姿の男性の目に映ったのは、高度成長時代に取り残された、ひなびた一地方の姿ではありませんでした。彼が訪れたのは、気難しそうな、町の旦那衆と呼ばれる実力者。開口一番、伝えました。「このおとぎ話に出てくるような、深い森の奥にぽっかりひらけた可愛いお城みたいな、この町を俗化してはならない」と。彼こそが、戦後日本を代表するジャーナリスト、雑誌『暮しの手帖』創設者の花森安治氏であり、花森氏の話に黙って頷く旦那衆と呼ばれる男性は、日下部家11代目当主、日下部禮一でした。

その出会いから幾ばくか年を重ねた今この時代に、二人の思いを継ぎ「谷屋」をつくりました。彼らが見ていた、飛騨高山の美しいおとぎ話の続きに、ささやかな物語を紡ぎたいと思います。お客様もともに、飛騨高山のこれからのおとぎ話を綴っていただければ幸いです。

日下部家13代目 当主 日下部 勝

有限会社日下部民藝館について
飛騨高山「日下部民藝館」*に隣接する伝統的建造物の民家を改修した1日1組限定の宿泊施設「谷屋」を運営。

*「日下部民藝館」明治12年に建築され明治以降の町家建築としては初めて国指定重要文化財に指定された日下部家住宅の一部を改装して一般に公開している公益財団法人日下部民芸館による施設。飛騨の工藝や手仕事の道具、全国各地の民藝約800点を展示している。

代表取締役 日下部 勝(日下部家13代目当主)
所在地:岐阜県高山市神田町1-29-3

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