[連載]「旅の追憶」建築家がすすめる見に行ってほしい建築 01|中澤克秀
1882年着工以来、実に約140年超かかって最後の段階であり2026年に完成予定という。完成されれば今以上に世界中から観光客が押し寄せるでしょう。かく言う私も1985年20歳の大学3年生の時に初めてサグラダ・ファミリアを見ました。まだ「生誕の門」しかなく、今知る全体像が実際に建設されるとは夢にも思いませんでした。この時が私の初めての海外旅行で、建築学生対象にヨーロッパを3週間廻る建築漬けのツアーでした。他にもアテネのパルテノン神殿、ローマのパンテオン、フィレンツェやヴェネチアやパリの街並み、コルビュジエのロンシャンの礼拝堂等、人生の中でカルチャーショックを受けた最初で最大の出来事でした。20歳の夢のような旅行から帰り、ふと振り返ってみると建築家になりたいと強く思うようになりました。元々設計がやりたい、自邸を建てたいとは思っていましたが、それ以上に建築家の存在と建物のメッセージ力に感動して、自分の将来の夢として明確になりました。