[連載][修士・院生を追え!] #2 テーマと思考

前回、密着する修士学生豊栄とよさか氏に、卒業研究のテーマを深掘りしようと──

──今回の提案、具体的に聞いてもいいですか?まずは、ざっくりテーマというか、提案の発端やきっかけなど…どういう感じで?
豊栄とよさか氏:キーワードとなるテーマは「塩」です
──塩…?

がテーマの設計とは…?

豊栄とよさか氏:キーワードとなるテーマは「塩」です

──…?
豊栄とよさか氏:はい、「塩」です(笑)

──どんなルートで「塩」がテーマになったんですか?
豊栄とよさか氏:発端でいうと、「生きるとは?」をテーマにしようと思って、生きるということを考
えました。それを考えた時に、現代の人々ってシステムの中で現代社会を生きている
なぁって感じたんです…!そこから、その生きるシステムというか、生きるためのシステムについて自分なりに紐解いていきました。

──「生きるとは?」っていう入り口がワクワクしますね!
豊栄とよさか氏:ありがとうございます!(笑)
そこから、生きるということから重要な要素を決めていきたくて、
自分のInstagramで「生きるうえで欠かせないものは?」というアンケートを取ったんです。

──え!すごい!Instagramでアンケートって最先端…!(驚)
豊栄とよさか氏:そしたら、圧倒的に「食」という回答が多くて、今回は「食」にフォーカスした提案にしようっていう方向性が決まっていきました。

──友人のみなさんの回答から「食」にたどり着いたんですね。「食」といっても、たくさんの「食」があるなかで、どうやって「塩」がテーマになったんですか?
豊栄とよさか氏:もちろん、すぐに「塩だ!」ってなったわけではなくて、まずは「食のシステム」「食の変遷」について調べました。

豊栄とよさか氏:こういう食にまつわる本とかをたくさん読み漁って(笑)
本や論文から得た情報をまとめて、自分がやりたい方向というか方針を定めて…みたいな!



──うわ!すご…!めちゃくちゃまとまってますね。
豊栄とよさか氏:いやいやいや、本当に書いてあったことをまとめただけなので、これはそんなに(笑)

人に見せる資料でなくても、自分の頭の中を整理するためにプレゼンボードのようにまとめているよう。
これまで数多くのコンペなどで賞を獲得してきているT氏。インプットした知識や情報をアウトプットす
る方法は有効的な整理方法かつ設計手法なのでは…!


学部生であれば、この状態のまとめデータや資料を課題のプレゼンボードに加えることもあるが、卒業研
究ともなるとすべての蓄積データを発表できないのがもどかしい…!
この段階こそ重要で、制作者の面白いアイデアや思考が詰まっている。
ぜひ皆さんにも見ていただきたい!

──へぇ~、「生きる」→「食の生産から消費」→「食のシステム化」→「これを建築に投影していきたい」みたいな流れなんですね!
豊栄とよさか氏:そうですね、ここから自分が目指す食のシステムというか、それにあった食を探して
いって、「塩」にたどり着いたんです。「塩の生成・生産」と「建築」っていう。
これが、敷地です。


(計画を展開していく敷地図面・地図)

豊栄とよさか氏:設計手法というか、こういうものをつくりたいなぁ…っていうのはざっくり決まって
て、こんな感じで。

──うわ!一気に建築に近づいた気がしますね!「設計手法」ってまとめられてて、今現時点で見えているってことが計画性というか、すごいですね。

提出1か月半前のこの時期、どこまで設計がまとまっていると良いかという指標としてぜひ参考に…!
あと、なんといってもすごいのが「設計手法」。
この設計手法、書いている内容をそのまま提案として形にできるとか、プレゼンボードや発表資料に書けるというメリットだけでなくて、豊栄とよさか氏のように現在進めているところに書き込むことで、自分の設計の軸を逐一確認できるのもメリットだと思う。途中で自分の目標を見失ったり、当初のコンセプトを忘れて走り出してしまうあるある。
なので、設計手法や自分の設計の軸、これだけは今回の計画・提案で譲れないものなどを書き起こしておくことも重要◎

現状、大きな敷地図面と、設計手法、スタディ模型(一部)が進んでいるが、進捗はいかに。

乞うご期待。

今回の担当記者S1号 元建築学生 / 卒業設計のテーマは「商店街のリノベーション」

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