【結果報告】ゲンビ「広島ブランド」デザイン公募2018
ゲンビ「広島ブランド」デザイン公募2018 審査結果発表
今年で3回目を迎えるゲンビ「広島ブランド」デザイン公募2018。
2018年9月21日~11月23日の期間で一般公募をし、2019年1月11日に結果発表および特別審査員の講評が公開されました。
審査結果をお知らせします。
応募総数:59件
入選:8件(特別審査員賞3件含む)
※入選作品を紹介する展覧会を2月16日(土)より開催します。
⇒ゲンビ「広島ブランド」デザイン公募2018展
■貞廣一鑑 賞
Jiangjie《広島の雨》
せっかく広島を訪れたのに、雨が降っていたら。旅行先での天候に悩まされた経験のある人は多いだろう。季節ごとのもみじのイメージがプリントされたビニール傘には、雨の日でも広島のまち歩きを楽しんでもらいたいという思いが込められている。
■鈴木康広 賞
藤本聖二《一(はじめ)》
広島市は全国第3 位の鋳物の生産量を誇り、また、化粧筆で知られる熊野町は書筆の一大産地でもある。そこから砂型鋳造による文鎮のコンセプトが生まれた。書の基本である「一」の文字を立体化した形には、ものごとの始まりや、初心を忘れないようにという意味が重ねられている。
■須藤玲子 賞
熊谷和+田代拓也+畠山拓也《折り鶴のチャペル》
折り鶴の紙を再生して作られる建築材料を用いたモニュメント。毎年建て直されることによって、恒久の平和が祈られる。折り鶴の折図をもとにした幾何学図形のブロックを積み上げる構造であり、軽さ、光透過性、風合いのある質感といった紙の特性を備えている。
■入選
岩竹俊範《Setouchi Park》
牡蠣筏のモジュールに合わせた筏を組み、船で曳航可能な大きな浮舟あるいは公園のような場所を瀬戸内海の海上に出現させる。海のアクティビティを体験する場として、さらには水産資源への理解を深める場として機能することを目的としている。
折戸朗子《広島弁いただきます!》
「方言」という目に見えない特産物を、「食べる」ことによって身につけよう、というユーモアのある提案。のびやかで、かわいらしくも聴こえる広島弁の特徴を捉えたストロー、クッキーは、言葉が口を出て空中に漂っていく様子をイメージしている。
坂本龍之介《C-plate 〜広島人のためのお好み皿〜》
お好み焼き用の平皿の縁を部分的に低くして、コテをそこに置くと、おなじみの広島東洋カープの「C」が浮かび上がる。「広島ブランド」として、店舗はもちろん、家庭でも、球場でも、あるいはお土産としても広く使用できるアイテムである。
西尾通哲(240design)《ひろしまは島でできている/Hiroshima Geographical Geometry》
6本の川と5つの島で構成される広島市の地理的特徴が、抽象的な幾何学図形によって表現される。図形はフォントや模様、図案に再構成され、さまざまなプロダクトやアクティビティとして展開される。人々の意識の中に新たな都市のイメージを作り出す試みである。
山田夏穂《ギフ鳥居》
宮島の大鳥居をモチーフにしたパッケージの提案。お土産としてもみじ饅頭をひとつだけ渡したい時のための包装箱として考案された。立体的に膨らんだ大鳥居の上部のミシン目を切って鳥居を開き、箱の綴じ目を開けるという、視覚的にも楽しめる仕組みとなっている。
■貞廣 一鑑(株式会社商業藝術 代表取締役兼社長執行役員)
映画『雨に唄えば』(原題:Singin’ in the Rain)[1952年公開]
雨を忌み嫌うか、それとも、雨を愛し、唄い踊るのか…
広島に降る雨のイメージは、「黒い雨」など悲しい側面が多いかもしれません。広島市民としては過去を教訓にする事も大切ですが、《広島の雨》からは未来の光が見えた気がしました。素直に、この紅葉舞い踊る傘が、雨の広島に咲いている景色を想像しとても素敵だと思います。海外の方が日本的なプレゼンテーションをされたことにも好感を持ちました。
《折り鶴のチャペル》はコンセプトの堅実さと実現性の高いデザインに、人を集め広島を活性化する可能性を感じました。是非実現させたい素敵な提案です。
入選作ではありませんが《Oleander Streetlight》はコンセプトに驚きました。広島市の花、夾竹桃は、可憐な姿とは裏腹に猛毒を併せ持つこと、それこそが終戦の希望であった事を初めて知りました。相反する要素が作品の中で共存しています。
広島の象徴的なモチーフは数多くありますが、それらに左右されず、確固とした着眼点と発想で、芸術性と商業性を両立し昇華している作品を選びました。
■鈴木 康広(アーティスト)
広島で生まれ育った人から住んだことがない人まで、あるいは移住したばかりの人など、応募者の多様な視点に触れることができ、審査を通して僕自身の中にあった「広島」に拡がりをもたらしてくれました。コンペではプレゼンテーションの要とも言える資料の仕上がりが評価の軸として欠かせず、着想や考え方に引かれつつ惜しい提案もありました。広島名物をモチーフにした発想は、新たな商品や製品化を連想させて楽しいのですが、僕自身は、一瞬、「?」となってしまうような未知の「間」を持つ提案を期待しました。既に認められた広島らしさをシンボライズするのではなく、一見すると関係のないものでも、広島に在ることによって生まれる「何か」に期待を寄せてしまいます。潜在的な見えない関係性を見立てる方法やきっかけをつくることがデザインの可能性として重要なポイントだと考えているからです。このような多様な視点が交差するコンペが続くことで、「広島」のイメージや、今、広島にあるものへの向き合い方が撹拌され、思いもよらないものが生まれるきっかけになるのではないかと思います。
■須藤 玲子(NUNOデザインディレクター)
熊谷 和+田代 拓也+畠山 拓也 《折り鶴のチャペル》
世界中から集まる折り鶴を再加工して積み上げ、モニュメントとする提案である。
8月6日の記念日に向けて、一年ごとに新たにモニュメントを立てるということで、立て続く限り、平和への祈りが続いている。
この提案の評価のポイントは、廃棄される毎年10トン以上の世界中から集まってくる折り鶴を再利用している。
それをモニュメントとして表現している。
更には、核戦争を経験した広島市民の平和への希求の強さを表しているところと言える。
「広島ブランド」という趣旨からは、常識的には多少逸脱しているかもしれないが、紛争が絶えない現在の世界状況を踏まえると、愚直に平和を求める人の心をあえて評価したい。
「ゲンビ『広島ブランド』デザイン公募 2018」は広島にちなんだモノ・コトにまつわるデザイン案を募集し、すぐれた作品を展覧会として紹介するオープン・プログラムです。広島の名産品や風土、文化をテーマとし、デザインの観点から発展させた新たな「広島ブランド」のアイデアを募集します。既存の名産品を(再)ブランディングするような案、あるいは、新たなモノ・コトのデザインを通して、広島の暮らしや物づくりから新たな魅力を引き出すような案など、そのアプローチは問いません。生活や暮らしに密接にかかわる事柄を主題としながらも、実現性や生産効率ばかりにこだわらず、広島の暮らしをデザインの観点から改めて問い直すような、「広島ブランド」の再構築としてのデザインアイデアを募集します。
また、それらのアイデアを「いかに見せるか」という点も重要なポイントとなります。優れたアイデアと、展示においてその魅力を効果的に提示するプランをあわせてご応募ください。
2018年9月21日(金)~11月23日(金・祝) 必着
●広島が誇る名産、風土、文化がもたらす暮らしの豊かさを、よりいっそう高めるデザインアイデアとそのプレゼンテーションとしての展示プラン。
●建築、プロダクト、グラフィックなど、デザインのジャンルは問いません。
●展示プランにおいては、イメージ図、模型、試作品、映像など、プレゼンテーションの方法は自由で、その展示プランの内容も審査の対象となります。
●開催期間を通して展示できる作品であることを条件とします。
●未発表の作品を対象とします。
●本公募はデザイン案の実現性によって審査するものではありません。(展示プランの実現性は評価の対象となります。)
貞廣 一鑑 (株式会社商業藝術 代表取締役兼社長執行役員)
鈴木 康広 (アーティスト)
須藤 玲子 (NUNO デザインディレクター)
※五十音順・敬称略
■入選 (8名/組程度)
・賞状
・金一封(10万円)
・オリエンタルホテル広島よりシングル1泊(2月15日、朝食付)の宿泊券
入選者の中から、以下のとおり各賞受賞者が選出されます。
●特別審査員賞 (3名/組)
●観客賞 (1名/組)
※展示期間中の来館者投票(2月16日~2月24日)により観客賞を決定します。
■募集期間
2018年9月21日(金)~11月23日(金・祝) 必着
■結果発表
2019年1月11日(金)
■展覧会
2019年2月16日(土)~3月3日(日)
広島市現代美術館
オリエンタルホテル広島
広島商工会議所青年部
広島市現代美術館 ゲンビ「広島ブランド」デザイン公募係
TEL:082-264-1121 /FAX:082-264-1198