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(大会レポート)デザコン2019 in TOKYO 第16回全国高等専門学校デザインコンペティション 東京大会 [前編]

オリンピック・パラリンピックでスポーツを競う
東京でデザインを競う

デザコン2019 in TOKYO
第16回全国高等専門学校デザインコンペティション 東京大会
Design Competition for KOSEN Students

宮本武蔵『五輪書』になぞらえ「デザイン」の奥義に迫る

「ロボコン(アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」で広く知られる高等専門学校(以下、高専)だが、その他に、毎年3つの大イベントが開催されている。その1つが、デザコンだ。学生の創造力に刺激を与えることを狙ったこれらのイベントは、全国に点在する56高専の学生同士が交流できる限られた機会でもある。毎年、各高専の持ち回りで運営され、全国各地で順に開催されてきた。
2019年は、オリンピック・パラリンピック東京大会2020を目前に控えた東京での開催となった。オリンピックに因む『五輪書』に日々デザコンをめざしてひたむきに努力する学生の姿を重ねて大会テーマに据え、各部門ではオリンピックに関連する課題テーマに応える参加学生のデザイン力が競われた。
初日はあいにくの雨模様の中、全国の学生たちが学校ごとにまとまり、京浜急行の蒲田駅にほど近い会場に集まってきた。

デザコン2019の会場となった大田区産業プラザ PiO。

デザコン2019の会場。吹き抜けに配されたエスカレータで各部門の会場へ。

多様なデザイン力を問う

大会テーマに添えられた「『デザイン』の奥義を極める」の指す「デザイン」には、一般に想像される、いわゆる「意匠」に限らず、エンジニアリング・デザインをはじめ、物やシステム、人間関係など、多様な意味でのデザインが含まれている。
デザコンは、工学系学科の多い高専の特徴に合わせ、多様なデザインに取り組めるよう厳選された、空間デザイン、構造デザイン、創造デザイン、AMデザインの4つの部門と、デザコン参加への準備段階として用意された、低学年対象のプレデザコン部門からなる。

創造デザイン部門のワークショップなど新たな試みも

各部門では、部門ごとの数段階に分かれた審査過程を経て、作品が審査される。指導教員がサポートしているとは言え、学生たちが審査に向けて準備する姿勢からは真剣さが伝わってきた。大会前日から設営の許された空間デザイン部門では、初日朝には半数以上の展示がほぼでき上がり、学生たちは最後の仕上げに余念がない。初日のパソコンとスクリーンを使ったプレゼンテーション(空間、AM)では、難しい課題にも臆しない達者な説明と審査員との応答に感心するばかりだった。
創造デザイン部門では、初の専門ファシリテータによるワークショップを導入。午前の各高専の学生を取り混ぜた混成メンバーでのワークショップ、午後の本選参加作品メンバーでのワークショップを通して、デザコンの場でどこまで自作をブラッシュアップできるかに重点が置かれた。当初は戸惑いも見られたが、すぐに慣れ、午後には、各テーブルのイーゼルパッドに、さまざまな言葉を書いたポストイットが貼り付けられていた。

空間デザイン部門で優秀賞の石川高専『多様面が囲う宿』のポスターセッション風景。

AMデザイン部門で最優秀賞(経済産業大臣賞)の神戸市立高専『剣道防具型』の展示。

創造デザイン部門で審査員特別賞を受賞した釧路高専『花のアポイ再生プロジェクト』の初日午後のワークショップ風景。

モンゴル勢が大躍進の構造デザイン部門

前日と打って変わって青空の広がった2日めは、各部門で雌雄を決するメインイベントの登場だ。自作の橋の模型が壊れずに規定の荷重に耐えられるかに勝敗がかかる構造デザイン部門、ポスターセッションでのアピールが入賞への鍵となる他の3部門。プレデザコン部門の投票結果(空間、創造)はすでに掲示されている。

構造デザイン部門では、素材が金属から紙に変わり心配していたが、紙とは思えないさまざまな形と色彩の橋が集まった。そして、質量が200g未満の軽量の作品が全62作品中10もあり、さらに、その中に、モンゴルから参加した3作品が入っているのに驚かされた。しかし果たして、こんなに軽い紙製の橋で、50kgものおもりを支えられるのか。固唾を飲んで、重い順に進む耐荷性能試験の成り行きを見守った。頑丈そうな橋が途中のおもり載荷で壊れたり、全載荷を終え安心した瞬間に壊れる橋があったり、悲喜こもごものドラマが展開する中、いよいよ最終組。最軽量116.7gの米子高専『逞弓(たくみ)』に最後のおもりが載荷され規定時間を持ちこたえた瞬間、場内から一斉に拍手が起こった。また、驚いたのは、合同チームで参加して以来3年めに過ぎない、モンゴル高専『信憑』が堂々の3位、優秀賞に入ったことだ。新モンゴル高専の『兜橋』が8位、『弓橋』が11位という大躍進を遂げた。
同会場では、プレデザコン部門AMデザインフィールドで初の競技(衝撃力測定)が続いて行なわれ、入賞作品が決まった。他の3部門でも各入賞作品が決定した。半年後のオリンピックでの実現は間に合わないものの、若い世代のさまざまなアイディアが披露されたデザコン2019であった。
参加した学生たちが、この大会での経験や悔しさを糧に、来年の仙台(名取)大会で、社会で、着実に次ステップに進んだ成果を見せてくれることを楽しみにしている。

構造デザイン部門の耐荷性能試験で次の載荷に備える。優秀賞に輝いた米子高専『金剛扇』。

構造デザイン部門の耐荷性能試験でおもりを載荷する。最優秀賞に輝いた米子高専『逞弓(たくみ)』。

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デザコン2018 北海道 official book


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